2016-01-01から1年間の記事一覧

シータとカイ(3)

シータは自分を犬だと思っている。とにかく僕に付きまとう。僕は服を取りに行くくらいしか二階の寝室に入らないのだが、僕が寝室に入るとシータがチリチリと鈴の音を響かせながら階段を上がってくる。その見えない情景を彷彿させられる音が目に見えるようで…

シータとカイ(2)

カイは柄がお母さんに似ているだけでなく性格も似ている。警戒心が強くそして滅多に鳴かない。鳴くときは餌が入っている皿が空っぽになっている時ぐらいだ。シータはいつも「ミャ〜ミャ〜」とうるさいくらい鳴く。初めのうちは「どうしたの?ごはんかね。」…

シータとカイ

シータとカイは我が家の猫だ。二匹は5つ仔の姉妹だ。赤ちゃん猫騒動記と話が重複するが他の兄弟はみんな屋根裏から壁面に落ちて亡くなった。シータとカイは小さすぎてまだ動けないでいたので奇跡的に僕が救い出して助かったのだ。名前は僕の息子が付けた。…

赤ちゃん猫騒動記(9)

その夜、2日前赤ちゃん猫を連れ帰ってくれた同級生から電話があった。猫が死んだので別の仔猫を引き取りたいと言う。勿論大歓迎で一匹を彼に渡して僕は一匹だけ連れ帰った。次の日その赤ちゃん猫を動物病院へ連れて行って帰ってきたがどうも鳴き声が弱弱し…

赤ちゃん猫騒動記中断の訳、あるいは別の騒動記

この「騒動記」が少しの間中断したのは、実はこの1週間、身内の「騒動記」に巻き込まれていた。先月最後の日曜日、北九州で素晴らしいピアノリサイタルを聴いて山口に帰って母親と二人でいつもより遅い夕食を食べた。簡単な鍋にした。僕の母はビールが大好…

赤ちゃん猫騒動記(8)

翌朝僕は赤ちゃん猫を屋根裏へ戻した。今度は壁の隙間へ落ちないように屋根裏の少し距離のある所へ置いてやった。これにコゲが気付いて授乳してやれたら一安心だ。その日は予約が入っていたので少し仕込んで自宅へ帰った。 夕方は早めに店へ入った。すると信…

赤ちゃん猫騒動記(7)

酒祭りが終わっても、僕と同級生3人はキャンプのようにうだうだと酒を飲んでいた。すると同級生の一人が「あっ、仔猫がいる!」と言って店の脇へ入っていった。「あっ、その仔猫はつかまらんよ!」と覗いてみたらやはりアルファだった。彼は猫好きみたいで…

赤ちゃん猫騒動記(6)

コゲとα(アルファ)たち5匹の仔猫は昼に行っても夕方行ってもそこにいた。アルファ、ルドルフ2匹のパシリがいて他は屋根裏か家の周りにいるのだろう。そうこうしているうちに5ケ月は経ったのだろう。コゲのお腹が膨らみ始めた。まだ5匹の仔猫がウロウロ…

赤ちゃん猫騒動記(5)

4回目の出産で生まれた仔猫たちは順調に育った。だって、コゲは5匹の仔猫たちみんなが食べ終わるまでじっと見守っている。みんなが食べ終わってウロウロした頃に自分が食べる。だから僕は餌が少なかったら少し足してやる。今回は5匹が仲がいいのだろうか…

赤ちゃん猫騒動記(4)

コゲのお腹がだんだん大きくなるので妊娠している事はすぐわかる。そのうち屋根裏で「ミャ〜ミヤ〜」と鳴き声が聞こえ出す。約1ケ月の授乳期がすぎ赤ちゃん猫から仔猫になり自分で食べられるようになった頃、コゲは仔猫を連れて僕の前に姿を現す。当然挨拶…

赤ちゃん猫騒動記(3)

χ(カイ)とθ(シータ)は息子が名付けた。カイは母コゲに柄もそっくりだったが用心深いのもそっくりだった。我が家の2匹のデカイ犬どもを食器棚等の上から観察していた。シータはミャ、ミヤとよく鳴く。うちの猫家系でこんなに鳴く仔はいない。しかも無警…

赤ちゃん猫騒動記(2)

コゲは近くまで寄っては来るが、僕が少しでも近寄ろうならダ〜と逃げて行く。だから僕は腫れものに触るように(コゲは今でも触った事無いんだけどね)コゲを箱入り娘のように可愛がった。触れた事もないコゲが娘かどうかはすぐにわかった。半年経ったある日…

赤ちゃん猫騒動記(1)

酒祭りで僕のお店の前でテーブルを囲んで飲んでいる時も、時々「にゃ〜にゃ〜」と甲高い鳴き声が聞こえていた。そうなのだ。店の屋根裏に赤ちゃん猫がいるのだ。親はわかっている。これを語るには少しだけ親猫のプロフィールを紹介しなければならない。それ…

湯田温泉酒祭りの話(4)

湯田温泉酒祭りも知名度があがってきたようで、第3回の時はドイツで大変にお世話になった友人が大阪から愛犬ノーリッツテリアを連れて我が店へ来られた。僕が誘った訳ではない。お知らせもしていない。おそらくインターネットで検索されたのだろう。向こう…

湯田温泉酒祭りの話(3)

僕の店は道に直接面していなく、2軒が共有する路地(といっても10歩入ればお店がありその前は吹きだまりのちょっとした場(スペース)になっている。ホームページのトップの写真でその雰囲気をわかって頂ければ嬉しい。湯田温泉酒祭りはメイン会場はちょ…

湯田温泉酒祭りの話(2)

酒祭りは昔から全国の酒所で行われているが、湯田温泉酒祭りは今回が第4回と歴史がない。というのも全国の多くの酒祭りは酒蔵のある酒所で行われるのであろうが、湯田温泉は酒蔵が無い。そのかわり、山口県内の酒蔵がこの湯田温泉に結集してくれている。こ…

湯田温泉酒祭りの話(1)

ホームページのトップにある居酒屋『赤いはりねずみ』は湯田温泉にある。実は僕は小学生のころからここで育った。お店ではない。お店は僕が改装した。お店は一部だけでこの家全体ではない。とにかく僕はこの土地で高校を卒業するまで育った。『赤いはりねず…

ティー・タイム(5)

さあ、今日でギリシャ神話編は最終回にしよう。皆さん、マーラーという作曲家を御存じですか?彼の曲に『少年の不思議な角笛』というのがある。管弦楽伴奏の全12曲の歌曲だが、マーラーはよほど気に入っていたようで。交響曲の第2番、3番、4番にも一部…

ティー・タイム(4)

イオは神託を授かった。ゼウスに身を任せろという。僕はどうも胡散臭く思っている。きっとイオが眠っている時にゼウスが耳元でささやいたに違いない。で、二人は近くの湖畔で結ばれた。当然奥様ヘラが二人の関係に気付かない訳がない。ヘラが激怒して夫を問…

ティー・タイム(3)

前回、商売の神ヘルメスを登場させ、その時にブランドのエルメスとの関係は僕はわからないなんて無責任な事を書いたが、責任を感じエルメスのホームページを見たが関係なかった。エルメスのロゴにある古そうな一頭立ての二輪馬車と馬の前に立っている人を見…

ティー・タイム(2)

皆さんヨーロッパという言葉をよくご存じだろう。その名前の由来が今日話するエウロパだ。彼女はギリシャの神ではなく普通のお嬢さんだった。彼女に惹かれたのがあのゼウスだ。「あの」とはギリシャ神話の絶対神の方ではなくここでは女好きを指す。ゼウスは…

ティー・タイム(1)

僕の知識ではギリシャ神話と音楽とのカテゴリーは尽きたかな・・・?でもお蔭で精神的に楽しい時間を過ごしている。そのせいか体調不良による食欲不振もここ3週間は回復した。尤も、あまり人に言えないのは『それだけ飲めて(勿論アルコール)何が食欲不振…

サムソンとデリラ’(9)

今日は色々な民族楽器等を駆使した演奏をある敬老会でした。10年前までは時々このような演奏をしたのだが最近はしてなかったので楽しく練習を重ねてきた。フルートの練習は主に技術練習だが、民族楽器は曲は民謡等技術的には優しいがそれぞれの楽器で指使…

サムソンとデリラ’(8)

今までギリシャ神話に関する音楽から始まり新旧訳聖書のテキストに関する音楽、特にフルートの旋律が素晴らしい曲をテキストと共に紹介してきました。しかし今回のオペラはサロメやオルフェウスとエウリディーチェのような有名なフルート曲はないのだが、デ…

サムソンとデリラ’(7)

第一幕 サムソン達の民族は迫害されていた。皆が自分たちの神に祈っている所へサムソンが神託を授かった今こそ蜂起するのだと言い皆もサムソンに従った。そこへ敵兵の大守がサムソン達の神を嘲笑う。サムソンが怒りをあらわにしたので大守は剣を取り殺そうと…

サムソンとデリラ(6)

「自分は髪を剃り落とされたら力がなくなる。」とうとうサムソンはデリラに打ち明けた。デリラはサムソンの敵民族にそれを知らせると彼らは銀を携えてやってきた。デリラの膝上で寝ているサムソンを敵民族は彼の髪を7房切り落とし縛った。サムソンは怪力で…

サムソンとデリラ(5)

サムソンが登場する項目は旧約聖書の士師記の第13章から第16章にあり第16章でデリラが登場する。それでは旧約聖書士師記第16章のストーリーを記そう。冒頭は少しだけ前回のストーリーの最後のエピソードと重複する。 サムソンは遊女の家に入るとその…

サムソンとデリラ(4)

前回は旧約聖書に記されている事を僕なりに要約して書いたが、サムソンが行ってきた事は出来るだけエピソードとして書いてきたつもりだ。所謂『サムソン物語』で、これからいよいよデリラが出てくる。ここからがサン=サーンスのオペラ『サムソンとデリラ』の…

サムソンとデリラ(3)

サムソンは神に選ばれ生まれた。ここでいう神とはサムソン達の民族の神である。サムソンは成長し青年になると敵対する民族の女と祝言をあげる。敵を攻撃するきっかけをつくりたかったのだ。(因みにサムソンは女好きでもあった。)祝言で招いた敵の30人の…

サムソンとデリラ(2)

現在でも、イスラエル国にエルサレムという首都があり、ここに有名な岩のドームがあり、これがユダヤ教とキリスト教の共通の聖地(メッカ)だ。そしてイスラエル国にはユダヤ人とアラブ人が対立的共存していて、しかもイスラエルの中にアラブ系のパレスチナ…