シータとカイ(3)

シータは自分を犬だと思っている。とにかく僕に付きまとう。僕は服を取りに行くくらいしか二階の寝室に入らないのだが、僕が寝室に入るとシータがチリチリと鈴の音を響かせながら階段を上がってくる。その見えない情景を彷彿させられる音が目に見えるようで愛おしく思える。因みに犬どもは一階の居間以外には出入りできなが、猫たちは小さな猫用の穴から自由に出入りできる。絶対こいつ(シータ)は自分を犬だと確信するのは帰宅の時だ。犬たちはどこの家庭も普通の風景だろうが、家族が帰ってきたらおもいっきり尻尾を振って嬉しそうに出迎える。我が家でも同様にでっかい犬が2匹尻尾を振って出迎えてくれる。そこに下駄箱に乗ったシータが犬たちと同じ視線でシッポを振って出迎えてくれる。これが我が家の風景だ。自分ではこの場面しかわからないが、家内や娘や息子が帰って来ても同様で、車庫に自転車が停まる音か車庫のドアが閉まる音を感じてライ君が先ず行動する。むくっと立ちあがって勝手口に(我が家は勝手口が玄関化している)向かう。それを感じたルナちゃんが同様に立ちあがって一緒に勝手口でハッハッと息を荒げながらシッポを振って出迎えの体勢に入る。そこへミャ!っと言いながらシータが小走りに来て下駄箱の上にジャンプする。これが出迎えの不動のメンバーだ。そこにカイは絶対いない。犬たちは時々勝手口から外(庭)へ出す。それは用足しだったり遊びだったする。僕が「ライ君、おしっこに行こうか?」と声を掛けるとライ君はヌクッと立ちあがって反応するが、ルナも同時かライより早く反応する。ライとルナが飛び出るとシータが必ずドアの所へいる。実際に以前僕が気が付かないで一緒に外にいた事が何回かあってそれ以来気を付けるようにしている。ドアを開けて犬たちを外に出しながら、シータを監視している。毎回の会話だ「シータはダメだよ!」「ミャ!」それでも毎回シータは来ている。