シータとカイ(2)

カイは柄がお母さんに似ているだけでなく性格も似ている。警戒心が強くそして滅多に鳴かない。鳴くときは餌が入っている皿が空っぽになっている時ぐらいだ。シータはいつも「ミャ〜ミャ〜」とうるさいくらい鳴く。初めのうちは「どうしたの?ごはんかね。」と皿を見に行くと皿には餌がたっぷり入っている。僕がソファに座っていると隣から「ミャ〜ミャ〜」と片手をかけてくる。「何かね?」と訊いたら「ミャ〜ミャ〜」と懸命に訴えるのだがぜんぜん理解できない。それは3年も一緒に暮らしても一緒だ。
 我が家に来た頃赤ちゃん猫だったシータとカイは段ボールに匿っていた。何で?それはでかい犬どもにだ。当然彼らは我が家の可愛い家族に興味津津だ。10歳になるベルジアンタービュレンのライ君(当時8歳47キロ)は時折仔猫たちを鼻先でクンクン臭っていたが「ダメだよ。」と注意すると腫れものに触る、いや触らないように接するようになり今でも好々爺如く優しい距離をおいている。一方グレートデンのルナちゃん(当時8歳57キロ)はお母さんの如く母性愛たっぷりに仔猫たちに構いたがった。カイはルナが近づくと一目散に猫ドアから退散した。あるいは食器棚の上に避難して犬どもを眺めていた。シータはルナが近づいても嫌がる事無く鼻先で嗅がれたり舐められたり、挙句の果てに、ルナの愛情表現からか、ルナの口の中にシータの小さな頭が入っている事もしばしばだった。初めてその場面を見た僕はかなり動揺したが、その場面を何度も見るうちに慣れてしまった。シータはバカじゃないか?!と思ったがシータが成長するにつれ口と頭とのデンジャラスな愛情表現はなくなった。