シータとカイ

シータとカイは我が家の猫だ。二匹は5つ仔の姉妹だ。赤ちゃん猫騒動記と話が重複するが他の兄弟はみんな屋根裏から壁面に落ちて亡くなった。シータとカイは小さすぎてまだ動けないでいたので奇跡的に僕が救い出して助かったのだ。名前は僕の息子が付けた。ギリシャ文字のθとχから取ったそうだ。僕は彼女たちのお母さん(コゲ)のお母さん、つまりお祖母ちゃんの時代から知っている。お祖母ちゃんはトラ猫で突然僕の実家に現れた。ある時5匹の仔猫を連れてきた。その一匹がコゲで彼女だけが実家へ残った。コゲはこげ茶のトラ柄猫でそう名付けた。彼女の最初の出産で生まれたのがシータとカイだ。我が猫の系譜は色模様が違えどシンメトリックに整っていて、みんないい顔をしている。ただみんな警戒心が強かったしほとんど鳴かない。カイは母親そっくりだ。それでいて母親以上に尻尾も長く器量よしだと親バカながら思っている。シータは柄もざっくりとしたグレーではあるが茶やコゲ茶が混じっていたりして「あんたどこの仔猫ね!」というくらい柄が漠然でしかも尻尾が短く先っぽが曲っている。なによりいつもいつも「ミャ〜ミャ〜」とうるさいくらいよく鳴く。僕は「本当にあんたはうるさいね!お父さんは誰ね?」とその都度言う。僕はシータとカイを飼って初めて仔猫のそれぞれの柄の数ほどお父さんがいると知った。