赤ちゃん猫騒動記(2)

コゲは近くまで寄っては来るが、僕が少しでも近寄ろうならダ〜と逃げて行く。だから僕は腫れものに触るように(コゲは今でも触った事無いんだけどね)コゲを箱入り娘のように可愛がった。触れた事もないコゲが娘かどうかはすぐにわかった。半年経ったある日屋根裏で「ミャ〜ミャ〜」と声がするようになった。「コゲのやつ屋根裏で子どもを産んだんか〜」とさして驚かなかった。それが数日経つと泣き叫ぶように「ミャ〜ミャ〜」と聞こえる。よく聞くと店の壁の向こう側から聞こえるのだ。うちの店は元からあった家を改装して店にしたから、外壁と内壁の間にどうやら空間ができていたようだった。僕は鳴き声のする内壁に穴をあけて手で探ってみるがわからななかった。3箇所も綺麗なお店の壁に穴が開いたが甲斐はなかった。とうとう僕は業者にお願いして外壁に穴を開けてもらう事にしたのだが、業者も猫を救うのが本業でなないのですぐに来てくれなかった。そのうち鳴き声が弱弱しくなってきた。次の日の夕方業者が2か所外壁に穴をあけ仔猫を救い出してくれた時は一匹は亡くなっておりもう一匹も僕の胸の中で2時間ももたなかった。するとまだ屋根裏で「みゃ〜みゃ〜」聞こえる。僕は店の天井にある屋根裏への入り口扉から屋根裏へ這いつくばり見ると、もっと小さな赤ちゃん猫が2匹寄り添って鳴いていた。僕はとっさに思った。亡くなった仔猫は兄弟でも成長が早く動き出し壁の隙間に落ちた。目の前の仔猫たちは成長が遅かったのでまだ動きださなかったのだ。だとすればこの仔たちも壁の隙間から落ちてしまう。僕は2匹の仔猫を屋根裏から出して我が家へ連れて帰った。その仔猫がいまや3歳になる。χ(カイ)というお母さんそっくりの猫とθ(シータ)我が猫たちの系譜の中で唯一ミャアンミャアンとよく鳴く猫の姉妹が我が家に君臨している。特にχはライ君やルナちゃんよりも強く、θは平和主義者だ。