赤ちゃん猫騒動記(8)

翌朝僕は赤ちゃん猫を屋根裏へ戻した。今度は壁の隙間へ落ちないように屋根裏の少し距離のある所へ置いてやった。これにコゲが気付いて授乳してやれたら一安心だ。その日は予約が入っていたので少し仕込んで自宅へ帰った。
 夕方は早めに店へ入った。すると信じられない事になっていた。壁からまたミャ〜ミャ〜と鳴き声がするのだ。また落ちたようだった。僕はまた壁穴に手を突っ込んだ。やはりいた。一匹そしてもう一匹・・・えっ、もう一匹いる!2匹は僕が朝屋根裏へ戻した赤ちゃん猫だった。さらにもう一匹落ちたのだった。その赤ちゃん猫は他の猫よりさらに小さくてもう虫の息ですぐに亡くなった。その晩はもう店を営業していたのでどうにも対処する事ができず、そのうえ最後のお客さん達が夜遅くまで残っていたのでその晩は赤ちゃん猫たちを再び自宅へ連れ帰った。次の日は早朝に猫用ミルクを買いに行きとりあえず赤ちゃん猫に飲ませ、裏庭に穴を掘って亡くなった仔を埋めてやってお墓を造った。夕方早めに店へ行った。また赤ちゃん猫たちを屋根裏に返すためだ。今度は何故壁の隙間に落ちたか確認する為に少し端材を持って猫と共に僕も屋根裏へもぐった。3年前ここでよく作業できたなあ、と思ったくらい狭かった。僕が太ったのか?と思いながら這いつくばりながら壁をチェックしたが以前の作業で塞いだ所は乱れていない。するととんでもない事が起きた。僕の後方でボタッと音がした音の方へ這ってみると深めの屋根裏に赤ちゃん猫が落ちていた。コゲなら降りて上がれる深さなので僕は手を伸ばして救ったら、今度はもう一匹がボタッ・・・僕は理解した。ここから壁の隙間まで行ったんだ。だが僕は行けない。このままだとまた同じ繰り返しになるだろう。全面に敷かれてある断熱材は、過去からの赤ちゃん猫、仔猫の成長の歴史でボロボロになっていた。僕は再び赤ちゃん猫を連れ帰って飼う事に決めた。