こうして俺は豚になった(2)

 俺はまだ動揺していた。だって仕方がない。俺は豚になってしまったのだ。

俺は心の中で何度も呟いた。(なんで豚なんだ。なんで豚?なんだ?)

俺は我に返って冊子『入院のしおり』を見た。

    (なんだ・・・これは?)しばらく俺の口が閉じることは無かった。

 

『 病院内に持ち込めないもの

   * スマートフォン、携帯電話、パソコンなどの通信機器

       (ケータイやパソコンが使用できないなんて・・そんな馬鹿な!)

   * ナイフ、カッター、カミソリなどの刃物や鏡、花瓶やコップなど

     ガラスや焼き物など危険な材質で作られている物。

       (コップが危険な物なのか?まさか鉛筆やボールペンもダメか?)

   * ラジオ、CDプレイヤー、髭剃り、ドライヤーなど全てのコード付き

     電化製品。但し乾電池タイプの電化製品は使ってもいい。

       (ようするにプラグから電気を取るなって事だろう。つまり

         ケチな病院だと書かれているだけではないか。)

   * 新聞、雑誌やアルコール関係以外の書籍などの印刷物。

       (まるで焚書坑儒ではないか!大戦下の軍事国家じゃあるまいし

         これでは当然楽譜の持ち込みは無理だな・・・楽器は当然

         覚悟していたが楽譜もダメとなると辛いなあ・・・まさか

         酔っ払いが作曲した楽譜ならいい、とはならないよなあ。)

   * 芳香剤、脱臭剤やシャンプー、ボディー・ソープなどエタノール

     アルコールが入った製品。

       (なんじゃ、こりゃ?シャンプーを飲む奴がいるんかい?!)

 俺は開いた口からため息しか出なかったが、ようやく声を振り絞った。

「これではまるで監獄ではないか!」

「そうだよ。ここは監獄だよ。あんたは収監されたんだよ。」声がした。  

 

 

     *これはフィクションです