第二幕第二場(14)

 ノブタが言った。
「弁護士だからさ。例えばこの店を持ち家だとして、この店を経営していたご夫婦が別れるとして財産を均等に分けると仮定するよ。もしご主人がこの店を引き続きやっていくとしても、この店の半分の権利は奥様にあるんだ。これは奥様が店を手伝わないで主婦をしていたとしても同じなんだ。だからこの店の物がいくらの価値があるのか、絵画からフラワーベース、グラスからテーブル、キッチン設備まで、奥様側の弁護士がある程度の審美眼を持って査定すればその分だけ奥様が得をするっていう訳なんだよ。」
「でも絵やコップなんて欲しい人が引き取ればいいじゃない。うちは欲しくないけどね。」
「だろう?だからその分をお金にした方がいい訳だ。この店の物を中古品として査定してもざっと200万はする。だから奥様はその半分の100万円を財産分割に上乗せして貰える権利があり、その分を請求できる訳だよ。」
「なあ〜るほど。で、その得した100万円の2割、20万円はノブタさんの懐に入るんだ。」
 ボブタはむせながら小声で「そんなことしないよ。だって俺は会社から・・・」と言いながらデクレッシェンドして黙ってしまった。
 ノブタはタメ池の前でも旗色が悪いようだ。
 ここで議長ノブチンの登場だ。
「それで赤ハリ先生は、このお店で必要な物をどう調達するつもりですか?」
「そうですねえ、100円ショップに期待をしていたのですが、それがよろしくないとなると・・・さてどうしたものか・・・」
 ノブチンが赤ハリ先生に言った、というか告白?
「先生、明日お時間ありますか?私仕事を休んで時間をつくるので私に付き合ってください。」
赤ハリ先生は「まあ私はいつでも暇ですから・・・」なんとも情けない返事をした。