第二幕第二場(15)

「さっき私の友人夫婦がイタリアン・レストランを開業したけど、経営が上手くいかなくなって潰れたっていう話をしたでしょう。今その友人とメールで、レストランにあった調度品や雑貨品はどうなったのか、情報を交換し合っていたの。友人の話では、ご主人がまたお店を持ちたいという夢があったので、お皿等雑貨品の全てを自宅で保管しているそうよ。それらの雑貨品でマンションの部屋一室が埋め尽くされているのですって。でもご主人は大きなイタリアン・レストランの主任シェフを任されていて忙しく、お店を出す夢はまだまだ叶いそうもないみたいなの。子供も大きくなり勉強部屋が必要になったので、全部引き取ってくれるのなら、タダで持っていっていいそうよ。お皿もコップもスープ椀も全ていい物だそうよ。ですから先生、明日私とお付き合いしてくださいますか?」
「勿論お願いします。大きな段ボール箱が三つもあれば足りますかねえ?」
これにはタア子が突っ込んだ。
「バカじゃない!部屋を埋め尽くす程の量よ。当然大型の車か軽トラぐらい用意しなくてはいけないでしょう。」
 イルカさんが言った。
「先生、私の主人の軽トラを使って。」
「これで決まりね。明日先生と私が権藤さんのお宅へお邪魔してから、一緒に軽トラで友人のマンションへ行きましょう。」
「いいなあノブチン、うちも一緒にいきないなあ。」
「あなたは学校でしょう。それに軽トラは二人しか乗れないの。だから明日は赤ハリ先生と私だけのデートよ。明日の事は『赤ハリ通信』でみんなに報告するからね。」
 ノブチンは何だか嬉しそうだった。と私にはそう見えた。