深く思った事(2)

 今世間でよく言われる「忖度」。中国ではそのまま通じるそうだが欧米ではその意味を訳すに苦労するようだ。
 僕が留学したドイツでは新しい教授を要請するのに何人かの候補に公開レッスンをしてもらうらしい。(僕の時期にはなかったのでその話を聞いただけだ。)教授が全員と学生代表が一票の投票権があるという話だった。これは面白いエピソードだ。有名なベルリンフィル演奏家を招聘した公開レッスンでその方「これ以上教えて欲しかったらレッスン料を払いなさい。」と公衆の面前で言ったらしい。勿論落選したらしい。元々田舎町の教授になる気がなかったのだとも聞いた。日本の音楽大学や国立大学の教授ってどうしたらなれるのだろうか?忖度?これは冗談だが、教授会で決められたって教授の力関係が忖度されるのだろう(笑)どちらにしても地方の大学は経営に四苦八苦している。そうなると素晴らしい先生を招聘してその先生に憧れてその大学に行くというような時代ではなくなってきているような気がする。つまり別の意味で学生を入学させてくれるような先生を教授にするような事も十分起こりうるし、予算を持ってきてくれる役人が教授になるなんてあったりするような気がする。実際に僕の母校の音楽大学でも、あの先生たしか高校の音楽の先生だったよなあというような現状だ。僕の時代は違った。日本のトップレベルの演奏家が数人の学生を教えるために来校していたし、この先生に憧れてきたんだと言っていた学生がいた。その学生は本も結構出版されていた。それが現在の地方の大学の現状だとすればガッカリする。