ああ楽しき夏期講習(その2)


(今は亡きミミちゃんとリンちゃんです)
 前回のルーセルの曲はブログした後、改めて調べたところセレナードという曲で編成はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ハープそれにフルートだった。なにがクラリネットの顔を思い出しただと〜?いい加減な奴だ!だから散々の結果だったのではないか〜?
 ルーセルの曲は最悪の評価だったが、山ちゃんたちのアンサンブル、つまりチェルニー作曲のピアノ、チェロ、フルートのためのトリオはレッスンも実りあるものだった。特にレッスンではコンラート・リヒターという著名なピアノの教授のレッスンで本当に感動的なレッスンだった。器楽であるトリオを歌劇のように特に喜歌劇のように演奏しなさいと指導され、ここは笑っているところだとか悲しんでいる個所だとか、彼の指導のもと我々の演奏はみるみるうちに変わった。それは3週間目の演奏会にも反映された。ヒッツァカ城での最後の夜のコンサートの後ろから2番目が我々の出番だった。半分は若い受講生の学生たちだったという事もあったが、演奏後の拍手喝采は凄い物があった。山ちゃんは今でも記憶に鮮明に残っているらしいし、今日まであれ以上の熱狂的な拍手喝さいを受けた事が無いそうだ。コンラート・リヒター教授も演奏後「君たちは私の教えた事を本当によく吸収して演奏してくれた。」といって褒めてくれた。山ちゃんにとって本当に嬉しい思い出になった。
だが楽しい事ばかりではない。娯楽の無い田舎での講習会だったので、毎晩のように一軒しかないパブで先生たちも一緒に飲んだ。その時、フルートのギュンター・ポール教授が山ちゃんに「日本人はもっと語学を勉強してこなくてはならない。もっと強くとかもっと大きくとか言うのが音楽のレッスンではない。もっと哲学や宗教を語り合いながらレッスンをしたいのに語学能力が無い。」と言った。耳が痛かったがそれは全くもって真実だった。反省しながら実りあるヒッツァカのアンサンブル講習会からデトモルトへ帰ったのであった。