山ちゃん、夏スキーを楽しむ


(なんだって?夏スキーだって)
 山ちゃんが春に一時帰国した時、友人たちはスキーへ行くのがブームになっていた。山ちゃんは生涯一度もスキーをしたことがなかった。
 そこへデトモルトの日本人仲間たちでイタリアで夏スキーをしようという計画が持ち上がった。山ちゃんは卒業試験もあるし悩んだ末にスキーへいく事にした。8人で2台の車に乗りこんでイタリアとオーストリアの国境近くの村ゼルダへ向かった。それにデトモルトに勤務滞在していた日本人医師家族4人が同行した。ゼルダは小さな村だった。そこの一軒家を一週間借り切った。村は雪がなかったが、そこから約20分車で山へ登るとなんと真っ白なゲレンデが広がっていた。スキーは上手な日本人先輩が教えてくれた。初日はリフトにも乗れなかったが2日目には直滑降のみ滑られるようになった。だが止まる時はこけるだけだった。しかしその時が一番楽しかった。なぜなら曲がるコツを覚えるとすぐに曲がってしまうのでスピードがでないのだ。だから2日目がスピード感あふれる滑りができたのだった。だが宿に帰ってサウナへ入ると体中、特に足が血だらけになっていた。
 毎日朝食後すぐに山へ行ってスキーを楽しみ、山の上のレストランで昼食を食べて少しスキーをしたら下山して町中をブラブラしたりパットゴルフをしたり楽しんで、夕食は自炊でみんなでパーティーを夜中までだらだらするという4日間だった。
こうして山ちゃんはスキーを楽しんで丸一日かけてデトモルトへ戻ったのであった。
料金は?はっきりと覚えていないが、ガソリン代宿貸し切り代食費リフト乗り放題などいろいろと割り勘して、一人3万円程度だったと記憶している。夏休みを本当に安く楽しめる環境がヨーロッパにはあるのだった。