妖精エコーの話(1)

 エコーの名前も音楽に深い関わりがある。音楽を録音する時に「エコーをかけて!」とか言わないだろうか。エコーの名前が使われたカラオケ店があったような気がする。クラシックでも同じフレーズ(比較的短い旋律)を2回繰り返す時に最初は強く演奏し2回目は弱く演奏する事をエコー効果という。実際楽譜にECOと記してある楽譜も少なくない。曲名になっている場合もある。
 日本では木霊(こだま)という。山などで「やっほ〜」と叫んだら「やっほ〜」と返ってくる木の精が返事しているのだと思うとなんともロマンチックなネーミングだ。一方ギリシャ神話に出てくる妖精エコーはロマンチックな話にはならない。
 ギリシャ絶対神ゼウスは相当の遊び人だった何人もの女神や妖精と付き合って多くの子どもを持った。例えば一例だけ。絵画や彫刻に美しい女性と白鳥が一緒にいればその女性はスパルタ国の王妃レダであり白鳥はゼウスの化身だった。
 さてその女好きのゼウスが山の妖精たちと遊んでいると(誘惑していると)そこへ嫉妬深い奥様ヘラがやってきた。機転をきかせたエコーはゼウスと他の妖精を逃がして、その饒舌な話でヘラの足止めをしてやった。当然ヘラは怒るのだった。