曲目解説(1)

 前回のブログのテーマがよくて楽しく記していたが、それも終わり次に書くことが無い。このままずっと筆を(PCキー)を置いたままではイカンだろう。
 などと思いながら朝の散歩していて思い浮かんだ。 来週の土曜日にお店の『2周年記念ミニ・コンサート』をする。なぜ居酒屋の記念日にコンサートか?とつっこむお客さんはうちのお店にはこない。徳冨信恵さんが僕のフルートにピアノでつきあってくれる。彼女が大曲演奏後に負担にならないようにプログラムには楽しい小品を集めた。当日は長い解説はしないでさっと演奏するつもりだ。だってみなさんも僕もその後の飲みが楽しみなのだ。乾杯前の挨拶を長々とするような野暮な人にはなりたくない。かといって解説の入ったプログラムを用意する気もない。だからこのブログに曲の解説を記すことにした。一日1曲、全7曲なので当日までになんとか間に合いそうだ。
 さっそく一曲目の解説を。
エルガー(1857〜1934)作曲『愛の挨拶』
 会の最初の挨拶にと選曲したが、この曲は作曲者が新婚の時に奥様に捧げた親しみのある小品だ。もともとピアノの為に作曲されたが、翌年にはオーケストラ用に編曲されている。それほど本人が気に入った曲だけあって様々な楽器の様々な編曲で演奏されている。つまりそれだけ人々の耳にする機会が多くなるという訳だ。エルガーはイギリスの作曲家だ。イギリスの作曲家は民謡など伝統的な音楽の影響を素直に受け入れながら、特に旋律を大切に創作している、と僕は感じている。だからこの曲もなおさら耳馴染みのある可愛い旋律なのだが、意外に演奏は難しい。それはエルガーが独学で作曲したせいなのか彼の個性的な意図なのかはわからない。彼の『愛の挨拶』の音楽は、例えばこんなシーンみたいだ。彼がさわやかな朝奥様に挨拶をする。「おはよう!いい天気だね。一緒にどこかへ出かけようよ。」「ええ、素敵ねえ。どこへ連れてってくれる?」「そうだねえ、そうだねえ、ここにしよう!」と会話が盛り上がる。自然と声も弾んで大きくなる。当然この後に期待通りの素敵な場所が彼の口から大きな声で発せられると思いきや、急にものすごく小声で「公園でどう?」と。奥様えっという表情で見つめている。彼はお茶目に笑いながら今度ははっきりと「公園に行こうよ!」と言う。そのように僕は演奏してみたい。フルートとピアノの掛け合いも保守的なイギリスの上流家庭みたい(?各自で考えてみて)で絶妙にいい。最後も作風は少し淡白でたどたどしいが、それが新婚みたいに初々しく感じてもらえるように演奏できたらいいなあ・・・