徳冨信恵というピアニスト(1)

 昨日、7月12日(土)山口市であるコンサートがあった。その中で僕の知っているピアニストが演奏した。ここでその演奏の感想、もしくは評論しても大きなタメ池に小さな発泡スチロールを投げ入れたくらいの波紋にしかならないのであろうが、それでもこうして公開している以上誰が見ているか、あるいは見るかわからない。だから彼女の名前を出してその演奏の感想を述べる文責は重く感じている。
 こうして前置きを書くと、この後に批判的な感想が綴られるのだろう、と勘ぐられては困るので、結果から一言記すと、彼女の演奏は感動的なまでに好演だった。勿論演奏そのものがそのコンサートの真価であるのは理解しているのだが、徳冨信恵というピアニストがどのようなプロセスで昨日のコンサート迎えたのか?少しだけ彼女を知っている(貴方に私の何がわかっているのよ!と彼女に怒られそうだが)僕が、僕なりの評論を展開させてもらってもいいのかも、と思った。それは彼女をよく知っているある年配の紳士が僕に「自分はいい演奏だと思ったのだけど、貴方はどのような評価をしたのか聞きたい。」と言ってきたことからだ。この知り合いの紳士をはじめ、これから後も彼女の演奏の評価を僕に求められた場合に、こうして文章にしておけば発言がブレずにこれを見てもらえるだろうし、少しでも共感していただければ幸いだ。
 徳冨信恵というピアニストが演奏した曲は、ベートーヴェンがこの世に残したピアノの名曲であり大曲であるピアノ協奏曲第5番『皇帝』だ。協奏曲というのはオーケストラと独奏楽器の協奏だ。競奏と字をあてている事もままある。だからピアノが上手であればそれでいいという曲ではないと僕は書きたかったのだ。
オーケストラは約50人程の様々な楽器の人間がいる。そしてそれを音楽的にまとめる指揮者がいる。それらの人間達が関わる事で協奏曲という音楽が出来上がるのだった。