早朝散歩の光景(1)

* 前回は私の操作ミスで冒頭3行が抜け落ちていました。(その部分です)

 呼び止めたのは同じ入院冠者だった。彼はボールペンでノートに何か書いていた

ので散歩の参加者をチェックしているのだろう。でも彼のチェックが終わっても階

段ドアの所に看護師がいて一人ずつ出ていくのをチェックしていた。

 

 ともあれ俺はそれから3日間待たされた末、ようやく外へ出ることができた。な

ぜ3日間待たされたのか?その理由は看護部長がいなかったからだ。優秀な牧羊犬

ボーダーコリーは隣村まで羊を追っていく訳ではないだろうが、一応出張だと言っ

ていたのでそういうことにしておこう。看護部長の帰りをキリンのように首を長く

して待った俺はやっと待望の早朝散歩に参加できたのだった。

 3階で無事チェックを通過し階段を下りる時は、あまりの膝の痛さに手摺なしで

は下りられない程、体力が消耗していることを実感した。2階を通過する時、ドア

が開いて2階の患者たちと合流した。1階まで下りると案の定外へ出るドアの所で

看護師が1固体ずつチェックしていた。そこで部屋番号と名前を言って、やっと外

の世界へ出られた。もうすぐ4月だというのに早朝の外の空気は冷たくて、それが

俺には爽やかだった。1周約100メートルのグランドをみんな一緒に淡々と歩く

だけだ。別に整列はしていない。年老いたのも若いのもいる。ただ右回りはみんな

同じで3ヶ所に一応監視らしき者がいる。コースを外れると直ちに注意される。彼

らはボーダーコリーの子分なのだろう。コースの周りには桜の木もあればちょっと

した菜園もある。少しでも見に行こうとしたら戻るように声が掛かる。俺たちは羊

かい!いや豚だった。