初心者ミーティング(1)

 俺は翌日から《ビギナーズ・ミーティング》なるものに参加することにした。

だいたい《ミーティング》(初心者)というネーミングが気に入らない。確かに俺

はこの病院の中では若い方だが人生の初心者ではなかろう。では入院患者のための

初心者講習でもするのだろうか?実際に俺は病院内での生活でまだわからないこと

もたくさんあるし要領を得ないことも多い。だからといって、そんな患者のために

講習会が行われる病院なんて聞いたことがない。しかも《ビギナーズ・ミーティン

グ》を12回も受けなければならないというではないか。そうしないと外へも出し

てもらえないという。本当にこの病院は監獄のような所だ。俺は受刑者になったよ

うな気持ちになり気が滅入ってきた。するとおかしなもので、自分にいったい何が

起こって、何が現実かがわからなくなり頭の中が混沌としてくる。つまり今こうして

考えている自分が現実にここへ存在しているのかすらわからなくなるのだ。頭がお

かしくなる・・・だから俺は今精神病院へいるのか・・・???俺は思考停止して

考えることを止めたくなる衝動に駆られる自分に言って聞かせる。(お前の考えて

いることは正しい。だから思考を停止させてはダメだ!)と。俺はミーティングで

議論するのは嫌いではない。病院生活の暇潰しには丁度いいかもしれない。

 俺は前向きな気持ちで《ビギナーズ・ミーティング》の会場へ向かった。

 

   *これはフィクションです