ここはいったいどこなんだ(5)

 俺は机の上に置かれた『入院のしおり』なる冊子を手にして表紙を開いた。

数ページさっと捲って目に留まり手を止めたのは、院内生活の時間割のページだ。

朝5時半の起床に始まって、ラジオ体操、朝食後に早朝散歩、冥想、朝礼と続く。

そして午前中はミーティングなる回復のプログラムがあるようだ。昼食後は、

午後1時半からまたミーティングがあり、そしてスポーツ、陶芸や革細工、塗り絵

などの選択プログラムがあり、4時半から週3回の入浴で少しの休憩を取り、

6時に夕食があり、その後も断酒勉強会などのミーティングがあり、夜10時半に

消灯だと記されていた。「ここは本当に病院か?まるで訓練合宿ではないか!

これを毎日続けていかねばならないのか?」俺は思わず憤りの感情が口に出た。

その時だった。今まで気がつかなかったが周りに誰かがいるような気配を感じた。

相部屋のようなので当たり前だが、こうしてカーテンを閉めればプライバシーの

スペースは保たれる。どうやら待遇は悪くなさそうだ。

 俺は取りあえず顔を洗って気持ちを落ち着かせる事にした。部屋には小さな

洗面台が一つ設置されていたが、鏡が無かった。俺はトイレに行って顔を洗う事に

した。共同のトイレは部屋の隣りにあった。俺は用を足し、鏡を見て絶叫した。

「なっ、なんてことだ!俺の顔が・・・俺の顔が豚になっている。!!」