ここはいったいどこなんだ?(3)
年配の女が入ってきた。その身なりから看護師だとすぐわかった。
彼女は俺の様子を確認すると枕元に直立して言った。
「気分はどう?少しは落ち着いたかね?」
無論気分がいいわけがない。。俺は仏頂面を決め込んだ。
彼女はそんな俺の神経を逆撫でするような言葉を意図的に選んで
いるように喋り続けた。
「ここは普通の病院ではありません。明日から他の患者さんと一緒に
同じプログラムを受けてもらいますからね。休む暇はほとんど無い位
この病院の中では忙しいですよ。食事は看護師詰所前のデイ・ルームという
ホールに集まってみんな一緒に食べます。あと洗濯は家族の方に持ってきて
もらってもいいけど、2週間は面接が許されないから院内の洗濯機を使って
自分でしてください。面接は基本的には家族の方しか許されません。それから
手紙を出すのは自由ですが、これも2週間後からです。電話はテレフォン
カードを購入して院内の公衆電話から掛けてください。但し1ヶ月はカードの
購入はできません。つまり電話が使えるのは1ヶ月後からです。」
辛辣な看護師の言葉は、ショックで朦朧とした俺の意識に容赦ない鉄鎚を
下してくる。そして彼女の鉄鎚が更に威力を増して俺に襲ってくるのだった。
*これはフィクションです。