著作権問題の報道に思う(7)

 前にJASRACが大手音楽教室側に著作権料を課すと発表したその時、僕はJASRACパンドラの箱を開けてしまったのではないだろうか?と書いた。その真意は、確かにJASRACは規約的には正しい。でも多くの音楽関係者がパンドラの箱を開けるがよろしくパソコンを開いてその事項を検索したらどうなるのだろうと老婆心ながら心配だ。そういう意味でお互いに争いなく希望が残ればいいと願っている。
 話は戻るのだが、演奏家が支払った著作権料は本当に本人に支払われるのか?答えはYesでありNoである。前にも述べたが、JASRACのスタッフはボランティアではない。全国何カ所かにある立派なビルで著作権を管理している。立派な役員もいる。配分がシークレットである以上全てがシークレットに運営されている。僕がお店を始めた頃のJASRACとのやりとりは以前記したが、その時にこんな提案を受けた。1ヶ月分いくらで(値段は覚えていない)契約しませんか?と。これはカラオケバーやジャズ喫茶などでもそのような契約をしている所が多いと思う。僕は何の曲を流したかわからないのにどうして本人に分配できるのか?と訊いた。回答はこうだ。今までの蓄積されたデータベースで使用率を割り出し分配するそうだ。だから音楽教室での著作権料を一律人数分で徴収するという発想になるわけだ。だとしたら極端に言うと、ある有名ではないシンガソングライターのファンが応援するつもりで毎日たくさんその人の曲を歌ってきたが本人には一銭も支払われていない、という事も十分考えられる。実際そんな方にお店でお会いしJASRACの話で盛り上がった。で、僕は電話口のJASRACの担当者に、店内で音楽は流さないと返事した。
 さて話は変わって近況だ。事故に遭って約3週間、僕の骨折は少しずつ回復しているが、まだ車椅子生活で病院以外は全く外出することはない。それより右手首の骨折で右手が固定されて何もできないのが本当に不自由だ。字も書けないし(PCを左指だけで打つのは上手になったが)食事は左手でフォークとスプーンを操る。一日中家にいるので嫁さんのストレスも相当なものだろう。ちょっとの事で入院する人の気持ちがわかった。優しい看護師さんもいるしね。それでも嫁さんに気遣ってでも我が家の方がいい。パンドラの箱が僕の目の前に幻のように現れる。まだまだ僕は大丈夫。蓋を開けるつもりはない。だけど嫁さんの前にもパンドラの箱は現れているのだろうか?その箱はでっかいのだろうか?