ジュニアオーケストラを聴いて(3)

 実は当日まで、ジュニアオーケストラが何の曲を演奏するのかわからなかった。プログラムを開いてのお楽しみだったのだが、実はこのプログラムは深読み裏読み満載なのだ。具体的に言えばプログラミング(選曲)がけっこう深読みできて面白い。
 例えば地方で聴ける在京のプロオーケストラの場合において、僕の場合このように考える。
 有名なソリスト(ピアニストやヴァイオリニスト)を伴う場合、指揮者のレベルが少しだけ下がる。これはソリストと指揮者のギャランティ(報酬)のバランスからだが、だからと言ってあまりに無名な指揮者だと地方では集客に影響するのでそれなりに頑張っている。有名な一流の指揮者の場合は、地方ではまずソリストを連れてくる事はない。それに一流の指揮者の場合でも地方では大編成の曲を聴くチャンスは少ない。何故ならオーケストラの編成が大きいとそれだけ団員がいる訳で、その分経費がかかるからだ。
 その観点からいって最高の名曲はベートーヴェン交響曲第7番だろう。なんといっても編成が小さい。コントラファゴットとかバスクラリネットなんて特殊な管楽器がいらないどころか、トロンボーンもチューバもいらないし、打楽器もティンパニ奏者一人ですむ。それでいて『のだめカンタービレ』で有名になったので聴衆も呼べる本当に便利な曲になった。そういえば今度我が街で開催されるプロオーケストラの演目もベートーヴェン交響曲第7番だったな。そうかあ、ピアニストでお金がかかるんだ。ガーシューウィンの『ラプソディ・イン・ブルー』だったっけ。ああ、また裏読みしてしまった。
 で話を戻そう。ジュニアオーケストラのプログラムを開くとベートーヴェン交響曲第7番と記してあった。同じベートーヴェンの曲でもジュニアオーケストラが演奏するとなるとちょっと読み方が変わってくる。