著作権問題の報道に思う(4)

 随分昔の話だ。小学校公演でのアンサンブルクレヨン(ソプラノ、ハープ、フルート)のプログラムでの事。その公演の導入で子供たちの心を掴むために(となりのトトロ)から『さんぽ』の一節をリコーダーで吹くことにした。それをタイムテーブルに書いて教育委員会に提出したら後日担当の先生から電話があって、導入のたった30秒吹いただけでもけっこう著作権料が掛かるのですね?」と言われ僕はビックリしてJASRACに電話して、ほんの少し導入に使うだけだと言うと相手は「たとえわずか数秒でも5分以内の演奏と同額です。」と言われた。僕はそれならトトロは演奏しないと告げて電話を切った。その時初めて著作料規約をじっくり見た。教育委員会は「こちらで払いますから吹いてください。」と言ってもらったのだが、僕は「思うことがあるので導入曲は著作権に該当しない曲でいきます。」と言って『メリーさんの羊』を2本のリコーダーで同時に吹いた。勿論大受けだった。それ以来ずっとリコーダーの一人2重奏を導入曲にしている。   JASRACは作家の権利、著作権を守る正義がある。所謂特許の音楽版みたいなものだ。音楽教室は子供たちが親しんでくれるような曲を教材に使って音楽を普及させるという正義がある。それぞれの正義を振りかざして争うのは建設的ではない。
 僕は演奏するし作曲編曲したり勿論レッスンしている。今日は自分の視点からひと言わせてもらえば・・著作権料は特許の音楽版みたいなものだと言ったが、特許は特許庁の管理の下明確な特許料の分配が行われるが、JASRAC著作権料の分配があまりにも不明瞭で当然情報開示もしていない。だから当然ネット上でバッシングされる。僕自身、多くの音楽関係者からはJASRACに関していろいろと聞くが、JASRACを評価する人に僕が会うことはないのだろうなと思う。音楽教室側にも僕が同じ教える立場にあって思うことがある。レッスンの教材としてあまりにも安易にヒット曲やアニメソングなどポピュラーに頼り過ぎていないだろうか?いくら名曲でも子供たちの多くはクラシックを知らないだろう。だからこそ先生が知らない名曲の素晴らしさを伝える努力をしなければいけないと思う。勿論素晴らしい才能を持った子を素晴らしい楽曲で伸ばしているケースもあるだろうがみんながそうではない。そういう意味でも多くの子に興味を持って楽しんでレッスンを受けてもらえる曲がポピュラーなヒット曲やアニメの曲だとすれば、その作曲家に敬意を持って著作権料を払うのは当たり前だと僕は思う。海外のスターは子供たちの教育に無償の奉仕をすることが一流のステータスでもある。久石譲坂本龍一などが、子供たちのレッスンに曲を使うのなら著作権料はいらないよ!と言ってくれたらいいのだがJASRACはそんなに簡単ではない。
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