著作権問題の報道に思う(3)

 「たとえ一人のお客さんが鼻歌を歌おうと、それに著作権料が掛かります。」と彼は僕に言った。「でもお客さんは一人で気持ちよく歌っているんですよ。カラオケじゃああるまいし僕もそれにお金を取らないんですよ。」僕が言い返すと彼は「いくらカラオケのようにお金を取らなくても、お客さんが来ていることでお店にいくらかの収益があるわけですよね。それに他にお客さんがいれば、その人たちも同じ所で楽しんでいるのですから。」だって。これは実際にJASRACから直接電話があり話した事だ。その後のやりとりはまたお話しします。
 JASRACについてブログに記すにあたって、いい加減な発言を発信してはいけないと思いインターネット『日本著作権協会』で検索してみた。ネット上はJASRACに対してのヘイトスピーチ化していた感がある。この度JASRACが大手音楽教室から著作権料を搾取する事に決めたことは、それがJASRACにとって正しいといえども『パンドラの箱』を開けてしまったように思う。どちら側にも希望が残されればいいけどね。
 さて、僕はドイツ留学から帰国して音楽活動を始めて28年になる。その間JASRACに対していろいろと言ってきた。勿論争ってはいない。争っても勝てる相手ではない。理不尽という手榴弾を相手に投げつけてきただけだ。それは演奏家としての自分の立場からだ。その手榴弾はどんなものだったのかはいずれ話そう。
 まずは話を戻そう。無料の演奏会でも演奏者にギャランティが支払われたなら著作権料が掛かると前回記した。なら有料の演奏会でもJASRACに申請しなければわからないのでは?と思った貴方、甘い!まずちょっとしたコンサート会場なら会場の事務局からJASRACに報告がいき、演奏当日までに申請書が貴方に届くでしょう。それに演奏する曲をアンコール曲も含めて全て記して送り返さねばなりません。すぐに著作権使用料を知らせてきます。公民館等公の施設も同様です。あと補助金をもらっていればこれも申請が必要です。もし逃れられるとすれば、規模が小さく普段は滅多に演奏なんかやらない所ぐらいかなあ。それでもそれが新聞やミニコミ誌などの催し欄に載ればJASRACはしっかりと申請書を送ってきます。かといってお知らせしなければお客さんが集まらないしジレンマです。いくら掛かるのかはここでは言えません。著作権該当曲数、曲の時間、観客数などで算定額が変わるからです。