師走の呟き(18)

 今年もあと二日。お店は今日まで営業だが、昨日の予約のための料理作りが終え今日は脱力気味だ。昨日は事情があり前菜とデザートは嫁さんが作ってくれたので、僕はメインディッシュの牛ホホ肉のワインソース煮を作ればいいだけだったが、逆にメインディッシュを失敗すると台無しになってしまうので頑張って時間を掛けて作った。その結果の料理としては自分でも美味いと思ったし、みんなからも好評だったのでともかくよかったしホッとしている。
 今週は懐かしいフルート関係の人が来てくれた。本当に嬉しい限りだ。一人は直接の弟子ではないが、僕の知っている先生の弟子で、ある企業にお勤めで山口に赴任されていた頃よくお店に来られた。当然ながらいつもフルート談義に花が咲いた。彼は僕に「先生、自分がいなくてもキープを出してどんどん飲んでください。」なんて夢のような事を言われていたのだが、そんな夢は絶対悪魔の囁きでしかない!と思った僕はそれには丁重にお断りして彼と一緒の時だけ飲まさせて頂いている。それでも僕の方が相当飲んでいる。もし彼の申し出を快く受け入れたら、のちに彼は僕を悪魔と思うだろうし彼は二度とお店に来る事は無かっただろう。彼は今年初め広島へ転勤になり今回久しぶりに再会して広島方面の音楽談義に花を咲かせた。当然ながらワインを一本空けた。昨晩は弟子が両親と来てくれた。彼は小学4年生からフルートを教えていた。ご両親はたまにお店に来られ彼の近況を聞いていたのだが、昨晩はご両親がお店のドアを開けられその後に彼が顔を見せると「おお〜ひさしぶり〜!」と、こちらも花が咲いた。あまりに話し込んでいるので嫁さんが阿修羅な顔をで予約の人達に料理を運んでいた。実は予約の団体は嫁さんの関係者の方々で、基本的には普段嫁さんが僕の店で手伝う事は無い。話を戻そう。彼は今横浜に住んでいて小学校の先生をしている。今回は帰省していたのだ。もう25歳になったという。25歳といえばまだ若いが僕は彼を小学校4年生の時から知っている。その時の印象が一生自分の記憶を支配している。・・・昨晩も楽しい夜だった。