【調和の霊感】を終えて(3)


 今年になって結構店が暇になった。そうなのだ。頑張って料理をつくってもお客さんが来なければする事がない。暇だから新しい料理を開拓してみても、それが余れば無駄になる。毎月のお店の売り上げは減ってきた。それでも不思議なもので粗利という純粋な利益はそんなに変わらないかむしろ増えていた位だった。ようするに無駄な買い物をしなくなったのだ。商売とは奥が深いと感じた。買い物が少なくなるとお昼にもっと自由な時間ができた。暇が嫌いな僕は昼夜の暇な時間を使って小説を書くことにした。今度は資料を集めなくてもいい軽い小説が書きたくなった。何か面白い題材がないかと考え、すぐに見つかった。僕はブログに音楽ミステリー【調和の霊感】を載せながら原稿を手直しするのと並行して小説を書いていった。原稿はほぼ書き終えた。今度はその小説を11月からのブログに連載しようと思っている。
 そんな訳で、結構フルートの練習もできている。むしろ昔よりもしているかもしれない。(そのくらいお店が暇だという事で、それ自体大問題なのだが僕にまだ危機感がない)そうすると演奏の機会もでき、毎年していた演奏も続けて依頼されたりするようになった。それはそれでいいかもなあ、なんて思ったりしている。お店を始める前の、中途半端な気持ちではできないと廃業した意気込みはどこにいったのだろうか。今はその中途半端を楽しんでいる。今年になって86歳の母親の生活の調子がうまくいかなくなった。母親は我儘で頑固なので同居を嫌がっていた。夕食はお店で食べられるという思惑もありお店を始めたが、1回食べにきてそれ以来頓挫した。その食事の帰りにはしごで飲み歩き道で倒れて救急車で病院へ担ぎ込まれたのだ。そのまま約1ケ月入院してしまったのだ。退院してからは自宅へこもりっきりになり、入退院を繰り返した。僕は意を決して母親の自宅を半分改装して、そこにお店を移転する事に決めた。今年の4月の話だ。さっそく業者に頼んで8月のオープンを目指した。