2017年子猫物語(3)

 ジジは相変わらず僕が店に来るのを待っている。そこに子猫たちも待っている。ジジとお母さん猫は以前折り合いが悪かった。仕方がない。だって僕がジジにしか餌をあげなかったのだから。それでもジジが折り合いを付けたのだろう。ジジが店の横に置いた餌をお母さん猫や子猫たちと一緒に食べるようになった。それは当然だろう。だってジジは間違いなくお母さん猫の子どもなのだから。ただ困ったことに誰かがやっている餌が多くて他の猫がそれを食べに来るようになった。ふてぶてしい顔をした体格のいい白い猫だ。僕はその猫を見たときは追い払っていた。ある時そのふてぶてしい猫は4匹の子猫たちが餌を食べているのを見守っていた。隣にはお母さん猫もいた。それで僕はわかった。この猫はお父さん猫だったのだと。だから僕はそれからはそのお父さん猫を見ても追い払わなかったが、今までの関係のせいでお父さん猫は僕の顔を見ると逃げていた。でも時が経てばふてぶてしくも店の横に居着くようになった。それはそれでいい。お前がお父さんだとわかったから。だけどこれだけは言いたい。『お前の遺伝子を継承している子猫は一匹もいないぞ〜』っと。そう思ったら心が本当に寂しくなる。そしてふてぶてしいお父さん猫が愛おしくなる。