2017年子猫物語(2)

 お母さん猫に餌をあげなくなって、心苦しいばかりだった。だってお母さん猫がまだ子猫の頃から4年近く餌をあげていたのだから。しかし屋根裏でミャーミャーと鳴き声が聞こえた時には犠牲になる子猫を思うともっと心苦しくなる。餌をあげなくなってもお母さん猫は店の周りから立ち去ることはなかった。だって誰かがひっそりと餌をあげているのがわかっていた。お母さん猫が妊娠するとお腹が大きくなるのですぐにわかった。そんな時僕は「屋根裏で生まないでくれ。」と願うばかりだがその願いは叶われない。ジジはお母さん猫4回目の出産の猫だ。
 今年の一月に僕は交通事故に遭い2ヶ月以上お店に行けなかった。当然僕が餌をあげられる状況ではなかったのだがそれでもジジもお母さんも待っていてくれていた。誰かが餌を与えてくれていたのだ。今年はお母さん猫のお腹が大きくならないなあと思っていた最近、突然にお母さん猫が4匹の子猫を連れてきた。屋根裏で鳴き声はしなかったから驚いた。どこかで生んだんだろう。お母さん猫もようやく学習したのだろう。2匹はお母さん猫に似てこげ茶トラで1匹はジジと同じ真っ黒で1匹は初めての柄で顎からお腹が白くて後は真っ黒だ。ちっちゃな子猫たちを目の当たりにして餌をあげないわけにはいかない。僕は昔のように店の横に餌用と水用のお皿を置いてやった。うちの猫たちは血統的に警戒心が強く店の入り口まで入ってきて餌を食べるジジが珍しいくらいだ。だが今回の子猫たちはジジの影響か子猫たちまでが店に入ってきて餌を食べている。僕はそれを遠巻きに見守っている。ジジもその時は店の外で子猫たちを見守っている。