作家が書いたピアノコンクール(2)

 このブログを始めたとたんコーヒー飲んだりお茶したりやっと2回目を記すことができた。受賞作家の巧みな表現を僕の凡庸な感想文のような文体にしないため、どのような切り口でかつ簡潔にまとめようか考えていた。
 コンクールは何十人何百人と参加するその中で小説では4人のコンテスタント(コンクール出場者)と2人の審査員の人間模様が展開される。あと一人亡くなった故ホフマン先生が大きな影響をもたらす。
 この本のタイトルが『蜜蜂と遠雷』となっている以上この小説の根幹を支えていると言っていい少年、おそらく中学生か高校生だろう彼は本当に天才だった。今の棋士藤井さんのピアニスト版だろう。彼は養蜂家の父親と共に世界中を渡りまわっていた。だから彼はピアノを持っていない。そこは幼い頃から将棋を指していた藤井さんとは違うが天才的な閃きはそっくりだ。そこはまた後でつまりコンクール予選になってから述べよう。
 このコンクールは日本で行われる新人ピアニストの登竜門なる存在で世界各地から参加者が集まる。日本までの渡航費や滞在費の負担を考えて日本とパリとニューヨークで予選出場のための予選が行われていた。前出の少年の名前は風間塵。彼はパリのコンクール予選に出場していた。その審査員の一人に嵯峨三枝子がいた。当然彼女は現役のピアニストだ。多くのピアニストが憧れ尊敬した大ピアニストに故ホフマンがいた。彼は弟子をとらないことでも有名だった。そのホフマンの推薦状を携えてパリのコンクールに参加したのが風間塵だった。それだけでセンセーショナルだった。しかも彼の演奏は正統的なホフマンの演奏とは違った。三枝子は当初その演奏を受け付けなかったが、少年の演奏を他の審査員にも聴かせ評価を確かめたいと思い直しパリ予選を通過させたのだった。