ルナは見ていた(3)

 ジュラシックワールドは前3作と趣が異なる。前作は一部の人間が孤島の恐竜の世界で繰り広げる冒険だったが、4作目のジュラシックワールド完全なるアトラクションテーマパークになっていた。行楽地よろしく子どもたちを含む多くの家族が楽しんでいる。サファリパークの動物たちが恐竜に代わったと思ったらいい。草食恐竜に触れ合えみんな大喜びだ。そこに水族館のイルカショーごとく大きな池の上にボールではなく大きな肉片をぶら下げられると水中から大ジャンプして肉片を喰らいついたのはモササウルスというバカでかいワニのような恐竜だ。みんな大喜びだ。そんな行楽地のようなパークでのアクシデントでみんながパニックになっていた。
 さて恐竜の王ティラノサウルスも進化したティラノサウルスもどきには劣勢だ。最後の一頭になったラプトルのリーダーだけではどうにもならない。ティラノサウルスは最後の力を振り絞ってティラノサウルスもどきを噛み倒した。ティラノサウルスもどきが立ち上がろうとしたその時奇跡が起きた。その場所は大きな池の湖畔だった。突然水中からモササウルスが現われティラノサウルスもどきに喰らいつくとそのまま水中に沈めたのだった。その場に一頭だけ残ったラプトルとティラノサウルスはコンタクトをとってそのまま別方向に去って行く。僕はラプトルが去って行く後ろ姿に愛着と感動を持った。第一作のラプトルへの恐怖とは正反対の感情を持ったのだった。
 さて翌日は暑くなかったので夕方にルナといつもの公園へ散歩に出掛けた。そこで信じられない事が起きた。公園に着いたその時だった。少し先をゴールデンレトリバーが横切った。その犬に向かってルナが猛烈にダッシュしたのだ。今までこんなことはなかった。初めて出会うその犬に迫ってはまずいと思ってリードで制そうとしたがラプトルの突進ごとくどうにもならない。僕はリードを握ったまま転がされた。なんとか寸止め的な所で制止させたがその結果としてジーパンの左膝部分は破れ当然大量の血が出て膝下からサンダルまで血だらけになり右肘は擦りむき血が出るわ右肩を亜脱臼するわ散々だった。ルナは昨夜のジュラシックワールドを見ていたに違いない。自分がティラノサウルスかラプトルとでも思ったのだろう。今ソファで寝ているルナを見ているとティラノサウルスにしか見えない。