蛍を見ている話(1)

 僕の音楽仲間で市役所職員で『蛍係長』だった人がいる。20年も前だったか僕が彼に訊いたことがある。「蛍はどうして光ってるのですか?」彼は、その質問は光の科学的な解明?それとも光っている理由?と前置きしてこう答えたのをよく憶えている。「科学的にはまだはっきりと解明されていない。(現在はわからないが・・)光る理由はメスへの求愛行動でオスはメスを探すためにオス同士が同時に点滅する。それで違う点滅しているメスを探しているんだ。」それ以来僕は同時に点滅している蛍たちを見つめながら感慨深くあれがオスなんだと観察している。
 山口市は一の坂川が蛍の名所で多くの人が訪れる。だが僕はそこへは行かない。なぜならそこへ行かなくても自宅近くに穴場があるからだ。そこを発見したきっかけは犬の散歩からだった。穴場といっても誰もが知らないところではない。それどころか大きなスタジアムがあったり大きな体育館があったりサブグランドがあったりでそこを知らない人はいない。公園自体が広いので梅や牡丹園、藤棚もあり桜の花見客でも賑わう。だからジョギングする人や犬の散歩をする人も多い。実際に僕も暑くなるまでは夕方犬たちを連れてこの公園を毎日歩く。そんな公園に流れる小川に多くの蛍が出現する。では穴場ではないではないか!と思われるかもしれないが本当に穴場なのだ。なぜならここ10年ばかり蛍のシーズンは最後の蛍がいなくなるまで毎夜犬を連れて来ているが未だに人に会ったことがない。だから穴場なのだ。どうしてかは次回に。