ライくんの記(最終章)

 動物がどれほど感情を受動しているのか僕にはわからないが、ライくんが亡くなって僕はまた体調が悪い。感情的には平常心のつもりだが明らかに体調不良だ。その僕のそばに二匹の猫カイとシータは僕のそばでゴロゴロしている。もっとも今までもそうだっただろうと言われればそんな気もする。しかし明らかに違うのはルナだ。今までルナは2歳半の成長期とはいえおてんば娘で、僕がソファにいると一緒に乗ってきて、ソファで寝ていても強引に乗ってきた。そのルナがライくんが亡くなって強引にソファに乗らなくなった。したがってソファで寝ている僕のもとに猫どもが安心してくるようになった。ルナがソファに乗りたくなったら僕の足をしつこく舐める。僕が足を折りたたんでやると彼女はソファの半分を占める。それでも僕のお腹に乗っている猫は逃げない。僕と動物たちの結束が強まったと思う。それはライくんのお陰だと思いたい。
 ライくんは普段は大変おとなしいのだが何故か家族が外出するときだけは騒々しいほど吠えまくっていた。逆にそれで誰かが出て行ったとわかった。今は誰かが出て行っても誰も吠えない。誰かが出入りしても静寂なこの空気がなおさらライくんがいなくなった今を実感させられる。この静寂で涙する。本当に合掌。