ライくんの記(2)

 僕がペットロス症候群に陥っていたときに癒やされに通っていたのがあるペットショップで、そこで売れ残っていたのがライだった。名前はもうライとついていた。犬種はベルジアン・タービュレンというややこしい名前で、僕が飼った時もしばらくは犬種を言えなかった。ようするにベルギーのシェパートで、ベルギーでは警察犬になっていてとてもお利口さんだが我が家に来てから飼い主に似て馬鹿ちんになってしまった。何故我が家に来たかというと、癒やされに通っていたとき彼は26万円だった。ある時娘を連れて行ったとき、僕は「可愛いだろう!20万円出せば僕が6万だそう!」と冗談で言った。すると奇跡が起きた。なんとその数日後にライくんは3万円になっていた。本来こういうケースはワクチン代など別途かかるがライくんは全部込み込みでしかも雨合羽や20キロのペットフードもついてきた。だったら飼わない理由なんてない。ライくんは我が家にやってきた。実はそれは奇跡ではなかったのだと後で知った。ライくんの縁でペットショップのお姉さんに何度かペットシッターに来てもらっていた。その時聞いた。ライくんを飼いたいという人が何人かいたが、女性店長とライくんの育ての親的な店員さんなどが話し合ってライくんのために大型犬を飼っていた僕に白羽の矢をたてたらしい。僕がペットショップに顔を出してから3万円の値札をだしたらしい。昨晩亡くなったライくんへの弔いに、その時の女性店長と子どもと赤ちゃん、育ての親の女性とお母様、ペットシッターでお世話になっていた女性、みんなが来てくれた。ライくんはみんなから愛されていたのだと実感した。今、ライくんは我が家に帰ってきた。合掌。