学校公演企画(13)

 現在皆さんがフルートのイメージをどのようにみているのかわからないが、考えてみれば初心者がフルートを手にするにはやはり銀メッキ製なのだろう。お値段が手頃だからね。前回金のフルートの話をしたが、今は木のフルートもある。昔は木製フルートの数は少なかった。技術的に現代曲の対応に難があったからだが現在は金銀のフルートと比べても遜色ないぐらいの楽器になっている。実際多くの一流オーケストラのフルート奏者が木のフルートを使っている。あとはプラチナ製のフルートもある。最終的には音の好みと予算だろうが、多くの人にとっては好みがあっても予算的に厳しいだろう。僕は昔からオーレル・ニコレというフルーティストを尊敬している。彼がずっと銀のフルートを吹き続けていたので、僕も銀のフルートにこだわってきたが、今思うとただ単純にお金が無いからだけで頑張っていたのかもしれない。事実今でも新しい楽器を滅多に試奏しない様にしている。だって音は麻薬と同じだ。一度いいと思うと忘れられなくなる。そうすると今持っている楽器が鳴らなくなってくるのだ。僕は今の楽器を一生大切に使おうと思っている。さて、今日紹介した木のフルートは金銀のフルートと同様のモダンフルートで指をあてるキーが付いたものだが、モーツァルトやバッハがいた200年前、300年前はキーが付いていないフルートで楽器の名前はフルート・トラヴェルソと言って区別している。僕は少しだけこのトラヴェルソも子どもたちの前で演奏してみようと思っている。