学校公演企画(12)

皆さんはフルートについてどのようなイメージがあるのだろうか?というのが、僕がフルートを始めた1970年代の頃はまだまだ金のフルートを持っている人なんてプロでもほとんどいなかった。30万円台の総銀製のフルートを持っていると凄いねと言われたものだ。今でも総銀製のフルートを使っているが、別の意味で凄いですねと言われる事がある。別の意味でと言うのは、フルートのようなシンプルな管楽器がそんなに高いと思っていなかった人だろう。話は冒頭に戻るが今では学生の多くが金のフルートを持つ時代になった。だから普通にその辺で金のフルートの演奏を聴くようになった。金と言っても色々ある。8金、14金、18金、24金。指を押さえるキーの部分が銀製だけど金メッキだったりキーの部分も同じ素材だったりそれによって値段はビックリするくらい変わる。ちなみに僕の総銀製のフルートはハンドメードで今は約60万位だが24金のフルートは時価で約800万は越える。あとは金の含有量が価格に反映される。僕がよく共演するハープの方が演奏現場でよく訊かれていた。「高いんでしょうねえ、おいくら位するのですか?」と。すると彼女は「ちょっとした乗用車が買える位です。」と言っていた。僕もその隣でタイミングを見て「僕の楽器は中古の軽がなんとか買えるぐらいです。」と言ってるが、前出の金のフルートだったらちょっとしたベンツが買えるのではないだろうか?もちろんその値段だけの価値はあるのだが、庶民的な利点を言うと金は変色はしない。それに比べ僕の銀の楽器はすぐ変色して黒くなる。今の楽器は30年前に購入したものだが、今職人にオーバーホールをお願いしている。その値段でちょっとした安価なフルートが一本買えるが、その価値は大いにある。僕の許にフルートが戻ってくればまるでピカピカの新品のようになる。キ―を押した感覚も新品そのものになる。オーバーホールは全部分を分解し全ての部品を調整する。古くてもいい物は長く使えるのだ。ただ、僕の場合、新品のような輝きは数カ月しか続かないのだろうな。