師走の呟き(16)

昨日フルートをオーバーホールに出したので手元にフルートが無い。という事は練習できないという事だ。吹きたくても吹けないという事だ。こうして嬉しそうに書けるのも『吹けない事もいい時間が過ごせるね』と精神的に少しだけ余裕ができたからだと思う。この3年間はそんな余裕もなく何日間でもフルートが吹けないと不安で結局毎年調整していたフルートをなにもしないでそのまま使っていた。その結果がイヴのコンサートの足部管ボトッ事件だ。フルート調整は約1週間程度だが今回のオーバーホールは約1カ月預ける事になる。でもオーバーホールは僕のシルバーである事を忘れるくらい黒いフルートがピカピカのシルバーに戻りバネの具合など新品の状態で戻ってくるので本当に楽しみだ。それだけ今の僕は精神的に余裕が持てたという事だ。
 そのフルートを預ける人は素晴らしい職人魂を持っていて全幅の信頼を持っている。出会いはもともと大手メーカーから自分でフルート専門店を起こされた方が連れてこられたのがきっかけだった。その方が「今まで色々な人の作業を見てきたが、この人の作業には目から鱗だった。」と言われていたが本当にその通りだった。ここでは詳しく書かないが、例えば一時間で10本こなせる作業をその人は1時間4本にしてくれという。その当時は僕も弟子が30人以上いたので二日がかりで調整会をした。泊まりは我が家で、その人は昼は食事にも行かず僕が軽食を差し入れし、夜も接待的に食事を誘おうと思っても夜10時過ぎまでやって、朝6時過ぎに起きたらもうフルート調整をやっている。本当に素晴らしい人なのだ。今回の僕のフルートが1ケ月かかるのは一回全部のキーをバラバラにして調整してしばらく寝かしておいてから状態を見て、またバラバラにして微調整してその間フルート本体をピカピカに磨く時間が
1ケ月になるという事だ。本当に凄い職人がいるものだ。どうでもいい情報だがその方僕より年上だが独身だ。う〜ん!わかるような・・・いや大変失礼しました。その人がこのブログを見ない事を祈っています。待っている間は自重、摂生しなくていいのかなあ?(笑)