シータとカイ(7)

 2年前から僕の自宅(フルート教室)へ小学生のお弟子さんがお母様と一緒に来られるようになった。お母様は娘のレッスン中の時間にシータの相手をよくしてくれた。シータも心得たもので親子が我が家にくると喜んで出迎えた。カイはその様子をちらっと見てすぐに消えて行った。僕はお母様に「カイはあんな性格だからすみませんね。」と言うとお母様が「ツンデレですね。」と言った。その時僕は初めて『ツンデレ』なる言葉を知った。それでもそのお母様はカイが姿を見せる度に相手をしていた。その影響だと思う。カイが最近変わったのだ。親子が来てレッスン室に入ると嬉々としてカイが入ってくるそして長い時間居座った。むしろシータが遠慮しているのか入ってこなくなった。それからだと思う。毎晩僕が寝ているとお腹の上に頭をのせてきたり、ソファでくつろいでいると突然に甘えてきて今ではキスもほんの少しだけ口が触れるようになった。こうなるとビジュアル系としても可愛いカイが愛おしくなる。夜寝ている僕のお腹にカイが頭をのせている隣でシータが寝ている。丁度そこに僕の右手があるから僕はずっとシータを撫でてやる。で、ときどきカイの顔を見ながら撫でてやる。このような耽美的な生活を送っている。つまらない妄想を覚めさせてくれる奴が我が家にいた。すごく不細工だが可愛いくてでかい女だ。あいつはいつも僕とカイとシータとの幸せな蜜月な関係をすぐに邪魔してはいる。そいつの名前はルナだ。可愛い名前だが性格は・・・それはそれで可愛い。これにて戯言はおわりにしよう。