シータとカイ(6)

 今回から僕と猫どもの関わりを擬人化して記そう。その方が感情移入しやすいと思う。
 僕はシータが好きだ。シータには双子の姉カイがいる。カイは美人だが少し気位が高い。僕が家に帰って来ても出迎えるどころかどこにいるのかもわからない。それにくらべシータは絶対に玄関まで出迎えてくれる。僕は猫なで声で「シータただいま。いいこしてた?」と言うと。「うん!」と答える。そんなシータだから僕は彼女が大好きだ。彼女は積極的に僕にキスをしてくる。べつに美人でなくてもいい。僕はシータの愛嬌が好きなのだ。彼女の唯一の欠点はおしゃべりがすぎる事か。シータは何でもかんでも声にしないと気が済まないらしい。そのくせ彼女が何をいいたいのか僕には理解できない。彼女はきままに僕の肩に手を掛けては相手するよう催促する。僕は彼女が好きではあるがあまり相手にしてやれない。それでも彼女は健気にしばしば僕の許にやってお話ししたりキスをせがむ。そんな生活の中で最近カイの性格が変わった。あれだけクールでマイペースだったカイがけっこう積極的に僕に近寄るようになった。しかもよく話をするようになった。しかもカイは賢いので短い言葉で僕に理解できるように話した。夜僕が寝ているといつの間にか僕のお腹の上にカイの頭があった。それが重くて腰が痛くなると僕は横向きに寝る。すると彼女は横腹に頭をのせる。最近は僕がソファでくつろいでいてもカイが突然やってきてお腹の上に頭をのせる。彼女の性格が変わったのには、ひとつ思い当たるふしがある。