天国と地獄(3)

オッフェンバックオペレッタ『天国と地獄』は『オルフェウスとエウリーチェ』のパロディなので配役の名前がちょっと違う。だからここでは混乱を避ける為に、今まで記したギリシャの神々の名を拝借させていただく事にする。
 話は原典に戻るが『オルフェウスとエウリディーチェ』は感動的な夫婦愛の物語だ。だがパロディである『天国と地獄』は基本的な設定が変更される。つまりオルフェウスもエウリディーチェもお互い別れたくれたまらないのだ。でも二人は世間体を気にしていた。そこへプルート(地獄の神)が現れる。しかもただの地獄の神ではつまらない。プルートはかっこいい羊飼いの青年になってエウリディーチェを口説くのだった。相手は百戦錬磨の地獄の神。そして変身したのはかっこいい羊飼いの青年(金持ちのボンボンではないのが脚本家は女心がわかっているのかな?)というのがすばらしい!そのまま羊飼いはエウリディーチェに罠を仕掛け遺書を書かせ地獄へ連れて行った。その遺書を見たオルフェウスは大喜びだ。そこへ『世論』なる人物が現れるのだ。薄情者の夫を叱責し一緒に神々の国へ連れ出すのだった。オルフェウスは渋々付いていくのであった。身に憶えのある御夫婦はこの世にはおるまいが、まだまだ楽しい話は『天国と地獄』では続くのであった。