精霊の踊り(3)

 オペラ『[オルフェウスとエウリディーチェ』はいろいろなジャンルで引用されるような題材だ。それぞれで脚本的に異なる場合もあるが、ここではグルックのオペラをできるだけ忠実にかつ簡略に記そう。(但し原典とちょっとだけ異なる)
 毒蛇に噛まれ亡くなった愛妻エウリディーチェの墓の前で悲しむオルフェウスにアモーレ(最近日本で有名になったイタリア語の愛の神でヴィーナスのことだ)が現れそこまで愛する奥様なら絶対神ゼウスの許しを受け、オルフェウスを生きたまま三途の川を渡れるようにするとの進言を受け彼は冥府へ出かける。但し彼はエウリディーチェに会っても振り返ってはいけないと注意されていた。第2幕ではオフフェウスを脅かす悪い精霊たちがいたがオルフェウスの竪琴に感動させられて彼は冥府へ入られる。そこは天国の地だ。美しい地にふさわしい音楽が『精霊の踊り』だ。おそらく一般的にグルックの音楽を聴けるのはこの曲だけではなかろうか。しかもフルート吹きが吹かなければ滅多に聴く機会がないだろうが、本当に素晴らしい曲だ。短い曲だが3つの部分(3部形式)に分かれているのだが、最初は『精霊の踊り』とタイトルにあるようにまさに精霊たちが美しく踊っているシーン(音楽)だ。そしてフルートの憂いある旋律が鳴り響く。原曲では弦楽合奏でピチカート(弓ではなく指で弦をはじく)が竪琴の雰囲気を出す。そして最初の踊りの場面に戻る。ようするに精霊たちが天国的な雰囲気の踊りをしていてそこへオルフェウスが竪琴で妻エウリディーチェへの想いを訴え、それに精霊が感動しまた踊るという音楽だが当時(今でも公演の時)はバレエで踊られる場面だ。