ナクソス島のアリアドネ(2)

危機的状況や難題を目の当たりにした時、奇跡的な解決法を見出した時『アリアドネの糸』という。僕はそんな状況が無かったのでそんな比喩は使った経験がなかったが、もしかしたら25年くらい前に糸ではないがアリアドネの線はあったのかもしれない。残念ながら僕が若すぎてそれに気が付かなかったのだろう・・・。
 テセウス達が迷宮から脱出した時の糸が赤色に染まっていた事で アリアドネは全てを察した。アリアドネテセウスアテナイへ共に行くという約束のもとミノス島を出てまず寄ったのがナクソス島だった。そこからアテナイに向かうはずだったにもかかわらず、テセウスアリアドネナクソス島へ置きざりにして失踪してしまった。アリアドネはいくら醜いとはいえ兄弟を売った身だ。テセウスへの復讐心に燃えた。そこへやってきたのが酒の神ディオニソスバッカス)だった。二人は結婚して二人の間にたくさんの子どもに恵まれたそうだ。
 神様は(多分ギリシャの神様ではなく、もっと上の神様じゃあないかなあ)悪事を戒めるものである。テセウスアテナイに帰港する際に、もともとクレタ島へ出港する時黒い帆を掲げていたが、アテナイ王から無事ミノタウロスを退治できた時は白い帆を掲げて帰港するように言われていた。べつにアリアドネのせいではないだろうが、テセウスはすっかりそれを忘れていた。アテナイ王は黒い帆で帰港してくる船を見てショックで崖から海へ転落して亡くなったようだ。