突然にミノタウロスの話(1)

僕がドイツに留学していた時いろいろとヨーロッパ中を旅してきた。理由は簡単で、第一に旅好きだった。(小さい頃から旅番組は見逃さなかった)第二にドイツはなんだかんだと長期の休みが多い。春授業が始まったと思えばすぐに復活祭の休みで3週間は休講になる。そして約2か月の夏休みだ。クリスマスも約2週間の休講で新年の冬休みですぐに春休みになる。つまり一年の半分は休みになるのだ。ドイツにいた約4年のうち行った国はかなり多いが(但し現在はバルト3国や旧ソ連等独立した国には行っていないが)休みの度に気軽に旅に出ていた。第三はヨーロッパは若者に優しいのだ。ユースホステル代は一泊1000円もしないし鉄道代もヨーロッパ中一カ月自由に乗り放題で(特急でも)約5万円だった。(ヨーロッパ在住の学生に限ってだが)その僕が一番長距離を旅したのはトルコとギリシャだった。当時ビザが無いと入れない国が多かったのでトルコへはバルカン半島(現在はセルビアとかボスニア・ヘルチェゴビアとかに分かれているが当時はユーゴスラビアのひとくくりだった)経由からトルコ(イスタンプール)へ行った。僕の滞在した街から一晩夜行でミュンヘンへ行き、それから乗り換え列車の中で丸2泊掛けてギリシャ北部のテッサロニキへ。そこから更に夜行でイスタンプールへ行った。(若いからできた)
 そうそうこれは旅行談ではなかった。話は戻すが、トルコでも色々あったが色々の流れで地中海に浮かぶクレタ島へ行った。旅好きの僕としては地中海文明クレタ島には絶対に行きたかったのだ。
 発掘といえばトロイ遺跡のハインリッヒ・シュリーマンが有名だが彼は考古学者ではな
ったので発掘した多くの物は散財した。(実際見に行ったが遺跡そのものは素晴らしかった)
クレタ島はアーサー・エバンズという考古学者が発掘したので遺跡がほぼ完成度高く保存されていて歴史の教科書で見た以上に目の当たりの遺跡は圧巻だった。感激で涙が出た。
 ここクレタ島ギリシャ時代にはミノス王が君臨していた。・・と書けばいかにも僕が博識?あるいは朝知恵(辞典だより?)に思われるかもしれないが、ミノス王は絶対に忘れるような名前ではないからだ。それはギリシャ神話において強烈な怪物ミノタウロスの存在があるからだ。ミノタウロスは牛と人間の間に生まれた怪物だった。その怪物があまりにも有名なのでクレタ島ミノタウロス=ミノス王と容易に憶えられるのだ。さて出生の秘密はミノス王のお妃が海の神ポセイドンの飼っていた牛と密通して生まれたのがミノタウロスだった。ミノス王は彼を世間に出さない為に迷宮を作り閉じ込めてしまった。ミノス王はそれだけ寛容で、よほどお妃を愛していたんだと僕う。