ただしが来た(2)

 僕達がただしに会いに行ってさっそくご夫婦とボランティアの方3人で我が家にただしを連れてこられた。ただしは車の中でけっこう吠えていた。僕は「こいつけっこう吠えるンか?」ちょっと不安なった。さっそくライとルナを庭に放してただしを迎えにいかせた。門扉の向うに見慣れぬ犬がいるのだ。みんな門扉越しに鼻を突き合わせた。ただしは相変わらず吠えたがシッポを振っているしルナもプンプン振っているので大丈夫だろうとすぐに中へ入ってもらった。そしてすぐにみんなのリードも外した。ライが犬嫌いなのでただしが近寄ってきたら「ウ〜」とすぐ唸った。しかたがない。先代のルナでも今のルナでもウ〜ウ〜唸っているのだから。いつも唸るのではない。ルナがしつこく手をかけたりじゃれようとする時だけだ。だから先代ルナはすぐにライとの距離感を理解した。だからよく人から「仲がいいですか?」と訊かれたが僕はいつも「仲は悪くはないですが良くもありません。冷え切った夫婦のようです。」と答えていた。今のルナは体重は40キロは越えたがまだまだ子どもだ。無邪気にライに絡んでくる。しょっちゅうライから怒られる。しかたがない。だからこそ、ただしがルナのいい遊び仲間になればと考えていた。心配だったのは朝の山での散歩のようにルナがアクティブにただしに絡んでいってただしがキレたらどうしようかと思っていた。ところがだ、ルナはただしに節度を持って友好的に接した。それでいてルナは楽しそうだった。ただしも楽しそうだった。お互いにシッポをブンブン振っていた。一緒に走り回りもしていた。意外だった。親バカだが、家でおてんば盛りの娘を幼稚園に初めて行かす日の心配が、実際行かせてみると意外にお利口さんだった的な感動だった。しばらくみんな庭ですきなようにさせていたが、いよいよ家の居間で対面させてみることにした。