信じられない演奏会(1)


(おてんば盛りのルナは油断すると何でも噛んで破壊する。
 靴下のほとんどは穴があき、僕はもうベルトがない。)
 先日ある演奏会へ行った。地方には一流のコンサートは滅多にない。だから僕は新幹線を使って福岡へよく出かける。
 先日はある日本人ピアニストによる2曲の協奏曲のプログラムだった。僕はそのピアニストを知らなかった。それにも関わらず何故僕がわざわざ新幹線で聴きに行ったのかというと、一つはそのプログラムにあった。通常、オーケストラを伴う演奏会は前半に協奏曲をやり後半が交響曲等のオーケストラの大曲をする。ただその日のオーケストラは勿論プロではあったが通常のコンサートだったら僕は行かなかった。ではどのようなプログラムだったのか?というと、全2曲とも同じピアニストによるピアノ協奏曲のみのコンサートだったのだ。前半はバルトークのピアノ協奏曲第3番で後半はブラームスのピアノ協奏曲第2番だ。どちらも大曲で難曲で名曲だ。どちらも僕が大好きなピアノ協奏曲でブラームスを愛している僕にとって福岡でも滅多に聴く事の出来ないピアノ協奏曲第2番が聴けることを楽しみにしていた。その2曲を弾くというのだから凄い!実際にピアニストのプロフィールが凄かった。「ホロヴィッツ(もう亡くなったが、音楽家で知らない人は絶対いない程の歴史に残る大ピアニスト)の再来」とか「日本は世界にすばらしい音楽をくれた」とか美辞麗句が並ぶ。これはもういかなくてはならないではないか。
 ここまでだと今回のブログのタイトル、「信じられないコンサート」とは「信じられない位素晴らしい」との形容になりそうなのだが結果は別の意味の「信じられない」だった。
 たしかに予兆はあった。僕は福岡に行った際はせっかくだからと博多名物「水炊き」の一人鍋を食べさせてくれる名店がありそこでよく食べる。ところがその日は定休日で閉まっていた。大きな楽器店にも必ず行くのだがそこも定休日だった。まあコンサートを聴きに来たのだからと、気を取り直し美味しいざるそばを食べ、コンサート会場に入った。