ルナの記(2)

ルナちゃんは超大型犬で、地元では火葬できないので(それは前の犬ムンちゃんで承知していた)下関の霊園まで火葬しに行った。下関には28歳の娘がいる。帰省した時はルナちゃんライ君をよく可愛がってくれた。だから娘にルナちゃんが亡くなって火葬しにいく旨を伝えたところ、自分も行きたいから駅まで迎えに来てほしいと言う。駅までは遠いので最寄りのバス停まで来いと言うと、駅まで15分もあれば来れるから来てくれと言う。しかたがないので、霊園には30分遅れると伝えて駅へ行った。朝10時の話だ。ところがだ!駅に着いて娘に携帯電話やメールすれども一向につながらない。家内からも何度も連絡させるが全く音信不通だ。仕方がないので僕達夫婦でそのまま霊園に行った。その娘から家内の携帯に連絡が入ったのは午後2時ごろだった。ちょうど僕達がルナちゃんの骨を取りに霊園へ向かっていた車の中だった。家内の話しぶりから、どうやら娘は寝ていたらしい。僕は怒り心頭だった。娘から迎えに来いと言っておいて寝ていたはないだろう。僕は運転しながら隣の家内の携帯電話先の娘に向かって大声で叫んだ!「お前は人間として最低最悪だ!二度と家へ帰ってくるな!」と。
 昨晩、お店で常連のお客さんにその話をした。するとそのお客さんが即言い返した。「おう、お父さんそっくりではないか!お前だって俺をわざわざ店に来いって呼び出しておいて寝てたじゃないか!その時俺はお前に『人間として最低』なんてひどい事は一言も言わなかったぞ!」全くその通りだ猛反省した。
 家に帰って、来週娘に会う事になっている家内に言った。「娘に言っとけ。あの時はルナちゃんが亡くなったショックであんな事を言ったが、今は気にしていないからと。」
 ルナちゃんは亡くなった後でも僕を人間として成長させてくれている。