再生と復活(1)


(私達の愛も再生、復活するのよ❤)
 マーラーの世界観では、再生も復活もキリスト教が根幹にあっての人生哲学の展開であろうが、僕の再生と復活はそんな大きな世界観ではない。僕の身近なる小さな個人的な世界観だ。しかし自分はたいした人生を歩んでこなかったのだろう!と実感したほど、僕にとって大きな大きな再生と復活にむけた第一歩を踏み出した。
 大きな衝撃はフルートの大スランプだった。だが、それは突然にやってきたものではない。余震のような兆候は数年前からあり特に去年はその余震が大きくはなっていた。が、それに気が付かなかっただけだった。その時に僕はいくつかの選択肢はあった。もともと僕は音楽を廃業した筈だった。このままやめてもいいとも思ったし、嫁さんもその原点を示唆してくれた。そしてこうも指摘してくれた。僕がアルコールが入っていない状態でフルートを吹いた事、ここ数年来ないのでは?・・とも。そうなのだ。僕はディオニソスの宴会で楽しんでいるうちにミューズから愛想をつかされてしまったのだ。
 僕は単純な、そして意思が弱い人間だ。だから僕はアルコールをきっぱりと止めた。つまり量を減らすという蛇の生殺し状態におかずに、飲むの?飲まないの?という単純な二者択一で自分を律した。
 酒断ちを始めたのは5月連休の最終日からだった。自分でも意外にもすんなりと止められた。だがその一週間後に禁断症状の如く、フルート歴約40年の中で初めてで最大のスランプに陥った。まず唇が自分のものではない感覚なのだ。だから今までできていた自在に息を操ることもできない。だからいい音が出ないばかりか高い音がまったく出なくなった。僕は喉にポリープでもできたのではないかと疑った。耳鼻咽喉科医院へ行って内視鏡で喉を診てもらった結果、なんともなかった。僕は覚悟を決めて地道に練習をした。勿論基礎練習が中心だ。