ヴァイオリンソナタ「クロイッツェル」


(お前は誰じゃ〜?)
 「春」が愛するべき名曲に思えてきた現在、やはりベートーヴェンのヴァイオリンソナタ「クロイッツェル」は格上の名曲だ。で、僕はクロイッツェルが羨ましい。だって彼の名前は20年以上経った今でも音楽史上に名前が残っているし今後も永遠に残るのだろうから。で、何が羨ましいって・・・だってベートーヴェンは彼の為にこの曲を創ったのではないのだ。もともと初演はブリッジタワーというヴァイオリニストの為に創って彼と初演した。ところが遅作家のベートーヴェンはギリギリ演奏会で間にあったこの曲を初演したものだから不評だった。そのせいをブリッジタワーの演奏に向けたベートーヴェンに対してブリッジタワーは創作の遅くしかも楽譜の汚さのせいにした。それに激怒したベートーヴェンは送呈をブリッジタワーからクロイッツェルに変えたのだった。で、ぜんぜん関係のない彼の名前が音楽史に残った訳だ。羨ましい限りだ。しかも当時作曲家はほとんど曲に名前を付けていない。では何故標題が付いているのか?それは出版の都合なのだ。「運命」とか「英雄」とかついていると楽譜が売れるからだ。ショパンもそうだった。特にショパンは標題をつけるのを嫌っていた。皮肉なものだ。今では逆にショパンは本人の意思と間逆のイメージになっている。「仔犬のワルツ」「雨だれ前奏曲
「別れの練習曲」などなど・・・
 話はぐっと戻る。もし出版社が売る目的で作曲家の意に反しても標題をつけて売ったのならそれはそれで評価できるのであろう。敏腕編集長という事だ。ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ「春」もナイスなタイトルだ。だってあの曲は「春」以外のなにものでもない。それで僕も「櫻の下で」という曲が書けたのだから。さてさて誰か仲違いしたあげく「交響曲ヤマダ」なんて事には・・・・絶対ないな!