現代のベートーヴェンとゴーストライター


 僕のお店は音楽関係者やお医者さんが多く、いまでもテレビで話題のあの話で盛り上がる。ベートーヴェン氏が悪いのはいうまでもないが2級の聴覚障害を認定した耳鼻科のお医者さんの釈明の会見はないのだろうか?と素直に思う。
 ゴーストライター氏は悪いとか悪くないとか彼の曲のCDが売れているとか大学を辞めるとか辞めさせないでと署名運動がおこっているとかいろいろな報道があるが、あの位の曲なら音楽大学の作曲科の先生なら誰もが書ける!と僕は思っているし作曲家もみんな思っているだろう。以前にも書いたが、今回の深い問題は、エセベートーヴェンを演出した詐欺師とそれに加担したただの作曲科の先生と、それにまんまと騙されたマスコミとそれに便乗して大儲けした音楽業界にあると思っている。
 もうこの問題を書く気はないので最後にしつこくもう一回伝えたい。あれくらいの曲は音楽大学や国立大学の教育学部の作曲科の先生なら誰でも書けるし、みんなは独自性のある創造をめざしているのだ。
 昔、ある有名な作曲家が大作曲家のチャイコフスキーをこう言っていた。「あれをしたら絶対受けると誰もがわかっている。自分だったら恥ずかしくてあんな手法は使わない。」
 昔、ある有名な作曲家がクラシックのラジオ放送の中で、モーツァルトが門外不出の曲を一回聴いただけで書き写したエピソードをアナウンサーから聞いた後、「そんなもの私の弟子達は、私の難解な現代曲を演奏会で一回聴いただけで、ああだったこうだったと、ピアノで弾いていますよ。」と言っていた。
 最後に僕の作曲の先生の言葉。「あの時代、多くのモーツァルトベートーヴェンがいて、たまたま彼らが有名になっただけ。」
 いまの言葉の真意と皆様の想いは別にして、作曲家というものはそれくらいプライドをもってやっているのだと伝えたかったのが僕の真意です。