芸術の秋満開


(散歩の秋満開)
 芸術の秋も佳境に入っていた。
 まず先週の金曜日は、山口市の小学校の合同音楽会が市民会館であった。そこでの最初に出場した柚木小学校は全校児童1年から5年までの6名での出場だ。リコーダーアンサンブルで僕が編曲した「キラキラ星の世界」を演奏するという。この曲は僕がこの学校の児童の為に2年前に編曲したものだ。当然僕もどのように編曲したか忘れていたので、新鮮な気持ちで客観的に楽しむことができた。1年生も含めて6名の児童がみんな違うパートを演奏したのだ。その演奏は見事なものだった。本当にかっこよくて感動した。それは演奏後の会場で聴いていた他の小学校の児童達のどよめきが物語っていた。
 土曜日は小倉であったバーミンガム交響楽団の演奏会へ行った。イギリスの地方オーケストラながら実力に定評があるオーケストラだが、僕の目的はブラームスのピアノ協奏曲第一番を生で聴ける事とそのピアニストがエレーヌ・グリモーだったのだ。上品で知的なピアノを弾く女性のピアニストだ。結果的にはグリモーの演奏は上手かったがオーケストラとの音楽的なバランスが悪く僕は感動できなかった。でも演奏後、彼女にブラヴォーの声が多数掛かっていたので、演奏そのものはよかったのだろう。後半のドヴォルザークの新世界は予想通りの好演だった。
 日曜日は徳冨信恵ピアノリサイタルがあった。実はこのリサイタルの後半のプログラムに僕はゲストとして参加した。曲はフランクのヴァイオリンソナタのフルート編曲だ。自分の演奏はこの日の観客の講評にお任せするが、前半は客席で徳冨信恵のピアノを聴いた。モーツアルトピアノソナタは無邪気なまでに躍動するピアニズムを見事なまでに表現していた。ベートーヴェンの月光もリストの死の舞踏も好演だった。後半演奏する僕のモチベーションは一気にあがった。
 月曜日は福岡へマルク・ルイサダのピアノリサイタルを聴きに行った。前日の演奏での疲れは取れていなかったが、それだけに福岡への旅は精神的にも大変癒された。ルイサダショパンコンクールの入賞者なのでショパンきとして有名でその日のプログラムも後半はワルツ集だったが、僕は前半のシューベルトの後期のソナタの名曲変ロ長調を楽しみにしていた。結果的にはシューベルトは素晴らしかったしワルツも小品といえ音色の豊かさはさすがルイサダの音世界を見事に展開させていた。
 こうして僕の今年の芸術の秋の佳境は終わった。