ここはどこ?わたしは誰?(1)


(ここはどこ?あいつらは誰?)
 芸術の秋というだけあって11月は僕でも毎週末は何だしか演奏する機会がある。
 11月最初の連休は北九州市にあるグリーンパークのバラ園フェアでいつものアンサンブルメンバーと午前1回、午後1回を二日間の計4回演奏した。
 この前の日曜日も知人の発表会の中で僕とオーボエファゴット、ピアノのアンサンブルでバロック音楽やポピュラー曲を数曲ゲスト演奏した。
 明日は音楽好きな面々が集って演奏したり飲んだりしたりする会にフルート二重奏、フルート、ヴァイオリンの二重奏、フルート、ピアノの二重奏をする。
 そして来週の日曜日には、ある女性ピアニストの演奏会の中で最後の曲としてフランクのヴァイオリンソナタのフルート編曲で全曲30分近く演奏する。
 そうなのだ。芸術の秋は僕にとっても忙しい秋であり、その分演奏における精神的なプレッシャーも大変なものなのだ。
 それなのに、この前大変な事が起きた。いや起こしてしまった。
 月曜日の朝、目覚めると自分がどこにいるのかがわからないのだ。まさに「ここはどこ?僕は誰?」の状態だった。まわりを見回してみてさらに驚いた。そこは小さな殺風景な部屋の中でその中に毛布が一枚あるだけだ。なんだあ〜?僕は起き上がってよく見ると、さらにさらに驚いた。その部屋の中に便器があるのだ。そして一面はかべではなく鉄格子だった。つまりここは牢屋?だとしたら僕は捕まった?なぜ?僕は前日からの行動を思い出そうとした。(つづく)