子猫物語(10)


(あいつらだけは・・・うるさくて眠れん)
 子猫だったカイちゃんシーちゃんが3日前、避妊手術をした。朝8時に二匹を預けに行って昼すぎに迎えに行った。ピーちゃん先生は、
「シータはまだ子どもの子宮だったが、カイの方はもう子どもが産める状態だった。」と言われた。子どもの状態だと薄いビニールのようで、それがカイのは柔らかい小さなソーセージのようになっていたそうだ。
だからカイちゃんはもう子猫ではないのだ。
 二匹はまだ麻酔が効いているみたいで腰砕けになっていた。家に帰っても歩こうとするものの足がおぼつかない。「おとなしくしく寝ていなさい。」と言って大きなケージに入れてやったが、外に出たがってバタバタしている。普段は上に下への大騒ぎで『ここから出さんかい』と主張していたが、今日は違った。
フラフラしながらやっと上に登り落ちそうになりながら降りたりしていたので、それならばとケージから外に出してやった。
 カイちゃんとシーちゃんはしばらくはヨタヨタとしか歩けなかったが、気持ちは普段と変わらないので、ソファに飛ぼうとして落ちたり、柱に登ろうとしてズリ落ちたりした。急に身体が動かなくなったショックだろうか、あれだけミャーミャーとうるさいシーちゃんはうんともすんとも鳴かなくなった。
 それでも猫の本能は凄いものだ。前足の力だけで柱を登ってみたり、ソファに飛び損ねても前足の爪を引掻けてよじ登ったりしていた。
 徐々に回復しているようだったが夕方までは以前のようにバタバタと走り回るような事はなかった。
 僕は夕方外出し夜中に帰った。するとカイちゃんもシーちゃんも『あいつら』状態に戻っていた。いや、今まで自由に動き回れなかった反動か、以前よりも増してドタバタドタバタ走り回り飛びまわり登り降りしていた。そんな中ルナちゃんとライちゃんは横になって静かに寝ていた。それ以後も、これが我が家の基本的な風景だ。